予測で勝つより制度で勝つ方が確実だった — 検証して分かった順序の間違い
当ラボは自動売買システムの検証に多くの時間を使ってきました。その結論を正直に書きます。優先順位を間違えていました。
検証で分かった数字の大小
15年分のバックテストで、指数(S&P500やナスダック)を上回るために積み上げた超過リターンは、条件次第で年+2〜8ポイントでした。しかもこれは不確実です。ブートストラップ検証では同じ戦略でも歴史の順番が違えば年率が+18%〜+46%に散らばりました。
一方で、NISAの非課税は運用益の20.315%を確実に守ります。
これは条件付きの期待値ではなく、確定した算術です。仮に年5%で運用したなら、その利益の2割が毎回そのまま残るかどうかの差です。当ラボが必死に探していた「不確実な数ポイント」より、はじめから手元にあった「確実な2割」の方が大きかったのです。
具体的にいくら違うのか
毎月5万円を年利5%想定で25年間積み立てた場合の試算です(NISA計算機で自分の条件を試せます)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 投資元本 | 15,000,000円 |
| NISA(非課税)の最終資産 | 約29,800,000円 |
| 課税口座の最終資産 | 約26,800,000円 |
| 差額(NISAで守れる金額) | 約3,000,000円 |
同じ商品、同じ利回り、同じ期間です。違うのは口座の種類だけで、300万円の差が出ます。この差を売買の腕で埋めようとするのが、私たちが最初にやろうとしていたことでした。
iDeCoは「拠出した瞬間に確定する利回り」
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象です。課税所得300万円の人が月2.3万円を拠出すると、年間の節税額は約55,800円になります(iDeCo計算機)。
これは相場が上がっても下がっても関係なく確定します。年間の拠出額27.6万円に対して5.58万円が戻るので、拠出した時点で約20%のリターンが確定しているのと同じ構造です。どんな売買戦略もこの確実性には勝てません。
ただし60歳まで引き出せない、受取時に課税判定がある、上限額が職業で違うといった制約があるため、生活資金との兼ね合いは必要です。
ふるさと納税は「支払う税金の使い先を選ぶ」だけ
こちらは増やす話ではなく、すでに払う予定の税金の一部を返礼品に変える仕組みです。自己負担は2,000円だけで、上限内なら残りは全額が控除されます。
注意点は上限額を超えると超過分が自己負担になることです。ネット上の概算ツールは前提条件がバラバラで当てになりません。当ラボのふるさと納税計算機は、住民税決定通知書の「所得割額」から正確に計算する方法を主にしています(毎年6月頃に届く書類の数字を1つ入力するだけです)。年収からの概算も用意しましたが、こちらは総務省の目安表と照合して誤差を確認した上で「概算」と明記しています。
正しい優先順位(数字で並べ直す)
当ラボが検証を経てたどり着いた順序です。
1. iDeCo・NISAの枠を使い切る — 確実。年間の節税額が計算できる
2. ふるさと納税を上限まで使う — 確実。実質2,000円
3. 手数料の最小化 — 確実。当ラボの実測で年率1.5%相当の差(証券会社比較)
4. 指数を保有する — 歴史的には有効だが将来は不確実
5. 売買戦略で指数を上回る — 最も不確実で、最も手間がかかる
私たちは5番から始めていました。1〜3番はコードを書く必要すらなく、計算するだけで確定します。順序が逆でした。
それでも5番を続ける理由
戦略研究をやめるつもりはありません。1〜3番は上限があり(NISAは生涯1,800万円)、それを埋めた先の資金には5番が必要になるからです。ただし期待値の大きい順にやるという当たり前の原則には従います。
当ラボの毎日の実績は検証ジャーナルで公開しています。制度の計算ツールはこちらにまとめました。
※本記事は一般的な制度の解説であり、投資助言や税務相談ではありません。制度内容・税率・上限額は改正されることがあり、また個人の状況により結果は異なります。実行前に必ず最新の公式情報をご確認いただき、必要に応じて専門家にご相談ください。