その運用成績、実力と運をどう切り分けるか — ブートストラップ検証入門
バックテストで「年率30%・最大ドローダウン30%」という結果が出たとします。この数字はどこまで信じてよいのでしょうか。当ラボが自分のシステムに対して行った「疑いの検証」を公開します。
方法:ブートストラップ(歴史のシャッフル)
戦略の日次リターン15.6年分を、約1ヶ月のブロック単位で並べ替えて「ありえたかもしれない別の歴史」を1,000通り作り、それぞれの成績を計測します。戦略の中身は全く同じで、出来事の順番だけが違う世界を大量に観察するわけです。
結果:同じ戦略でもこれだけ散らばる
| 指標 | 悲観5% | 中央値 | 楽観95% |
|---|---|---|---|
| 年率リターン | +18.8% | +31.6% | +46.8% |
| 最大ドローダウン | -56.5% | -39.0% | -27.7% |
実際のバックテストが示した最大ドローダウンは-29.7%でした。しかし分布を見ると、これは運が良い側の抽選結果です。同じ戦略・同じ市場でも、順番が違えば資産が半分以下になる歴史は普通にありえました。
もうひとつ重要な数字:この戦略が15.6年かけても市場平均(ナスダック連動)に勝てない確率は17%ありました。「良い戦略」と「必ず勝つ戦略」は全く別物です。
実務にどう活かすか
- 資金設計はバックテストの最大DDではなく、分布の悲観側(今回なら-50%超)に耐えられる金額で行う。これが最も重要な結論です
- 運用開始直後の好成績・悪成績は、実力の証明にも否定にもなりません。分布の幅の内側で踊っているだけの可能性が高い
- 「年率○%を保証」という言葉を見たら、その瞬間に疑ってください。誠実な運用者が提示できるのは分布であって、点の数字ではありません
まとめ
検証の目的は自信を持つことではなく、自信の適切なサイズを知ることです。当ラボは自システムのこの分布を公開した上で、毎日の実績を検証ジャーナルに記録し続けています。予測ではなく記録で語る、がこのサイトの方針です。
関連記事
本サイトは投資助言ではなく、自動売買システムの検証記録と一般的な金融教育情報の提供を目的としています。掲載する実績にはペーパートレード(仮想売買)を含み、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。