オートクオンツ研究所

バフェットの保有銘柄を真似したら勝てるのか — SEC生データで13年検証した結果

2026-08-06・解説記事

「バフェットの真似をすればいい」— よく聞く話です。実際、米国の大口投資家は四半期ごとに全保有銘柄をSECに開示する義務があり(13F報告書)、誰でも無料で読めます。ならば機械的に真似すれば勝てるのでは? 当ラボはこれを推測ではなく実データで検証しました。

検証の設計(結果を見る前に固定)

パラメータを後から都合よく変えないため、条件を先に宣言してから実装しました。

技術的な難所は、13F報告書にティッカーが書かれていないことでした。「BANK AMER CORP」「OCCIDENTAL PETE CORP」のような略記社名しかないため、SECの公式企業リストと照合する変換器を書き、既知の正解27パターンでテストしました(照合率94.7%)。

結果:指数に負けました

戦略年率シャープレシオ最大ドローダウン
13Fクローン(著名投資家の真似)+13.7%0.76-39.2%
S&P500(SPY)を買って持つだけ+17.6%0.94-33.7%

同じ期間・同じコスト条件で、単にS&P500を買って寝ていた方が、年率で3.9ポイント上回り、下落も浅く済みました。 訓練期間(2019年まで)と検証期間(2020年以降)で分けても結論は変わりません。

理由は難しくありません。45日の開示遅延の間に価格は動いてしまいますし、著名投資家の保有銘柄は基本的に大型株なので、結局「大型株の一部を持つ」だけになります。それなら指数全体を持つ方が分散が効きます。

念のため疑った点:都合の悪い銘柄を除外していないか

この検証には落とし穴があります。倒産・買収で消えた銘柄(例:シアーズ)は現在のティッカー一覧に存在しないため、変換できず自動的に除外されます。負けた銘柄だけが消えるなら、結果は不当に良く見えます。

そこで除外された銘柄の金額を記録し、「除外分は現金として遊ばせる」保守的な処理で再計算しました。結果は年率+0.02ポイントの差、つまりほぼ影響なし。除外されるのは小口の保有が多く、上位15銘柄に入らないためでした。疑ってから否定できたので、この点はクリアです。

途中で見つけた自分のバグの話(ここが本題)

最初にこの戦略をポートフォリオに追加したとき、成績は改善して見えました。年率が上がり、ドローダウンも浅くなった。採用しかけました。

しかし取引回数を見て違和感がありました。13F銘柄の売買が1件も発生していなかったのです。

原因は「無取引帯域」という仕組みでした。目標比率と現在の比率の差が2%未満なら、無駄な売買を避けるため注文を出さない設定にしていました。ところが13F戦略は15銘柄に1銘柄あたり1.0%ずつ配分するため、すべての注文が「ノイズ」として却下されていたのです。

つまり最初に見えた「改善」は、13F戦略の効果ではなく、同時に変更していた他の配分とレバレッジの効果でした。バグを修正して正しく売買させると、結果はこうなりました。

13Fなし13Fあり(バグ修正後)
年率+35.7%+37.8%
シャープレシオ1.361.34
最大ドローダウン-28.8%-32.8%

年率は上がりますが、それは単にリスクを増やしただけで、リスク調整後の効率は悪化しています。事前に決めていた採用条件(訓練期間でシャープレシオが改善すること)を満たさないため、棄却しました。

この検証から言えること

棄却したコードは削除せず残してあります。将来データが増えたときに再検証するためです。当ラボの現行システムは引き続き4戦略構成のまま、毎日の実績を検証ジャーナルで公開しています。

※本記事は検証記録であり投資助言ではありません。特定の銘柄・手法を推奨するものではなく、掲載数値は将来の成果を保証しません。

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